この巻では今、大河ドラマで注目されている源義経の歴史的な存在意義。なぜ義経は頼朝に滅ぼされたのか。なぜ、あれほどの戦争の天才が亡んだのか。こういったところが面白かった。そのあたりの著者の見方は、今の社会で我々が生き抜くに当たっても、必要な視点を与えてくれると思う。
天皇・上皇が絶対的権威でありながらも、源頼朝を委員長、北条時政を書記長にした労働組合のような形をとることで武士が実質的な支配権を握っていったという例えは大変興味深い。しかし、その後に北条氏がただの有力御家人で終わらず、執権という役職のもとに権力を集中できたのは北条時政・義時が稀代の謀略家だったからとしているが、それにはいささか物足りない印象を受ける。さらにもう一歩踏み込んで、御家人組合の書記長に過ぎなかった北条氏がどのようにして他の有力御家人を押さえて、象徴将軍のもとに政権を握ったのかを著者に解説して欲しかったところだ。