| カスタマーレビュー |
最も信頼できる者がこの上もない裏切り者だったら |
| 2006/10/14 2人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。 |
ムーア人であるオセロー戦地で尽力し、ひたむきに国のために戦う義を重んじる将軍である。本書の中でオセロー自身が「戦の庭にあって石を枕に鋼の床と明け暮れしてまいった身にとりましては、今や戦場こそこよなき羽毛の寝床」(PP34 L5-7)
と、語っているように人々にとって彼はまさに非の打ち所のない軍人であった。
一方このように誠実である男の人生を破滅へと導く人物として描かれているのが、オセローの旗手であるイアーゴーである。彼は、外見はオセローと同じく誠実そうで最も信頼するに足る人物に思われる。だが、実際は地位を得るという私利私欲のために手段を選ばず、妻でさえも利用するしたたかな人物である。
この物語でオセローを悲劇のどん底に陥れる鍵となる人物はやはりイアーゴーである。彼の悪知恵により、周囲の者は口車にまんまの乗せられ、悲劇が悲劇を加速度的かつ連鎖的に生み出している。とりわけ、誠実なオセローはイアーゴーの進言を傾聴し、次から次へと事実からは程遠い虚言を鵜呑みにしてしまう。それが最悪の結末を招くこととなってしまった。
この作品で私は改めてシェイクスピアの緻密な作品構成に感服した。オセローの妻への疑心、イアーゴーの策略などすべてが伏線となり、ひとつとして無駄がない。なるほど、これは起こるべくして起こった悲劇であり、他の結末などあり得ないと考えざるを得ない。
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愛することを知らずして愛しすぎた男の身の上 |
| 2006/07/24 3人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。 |
嫉妬の悲劇。高潔で義に厚いムーア人の将軍オセローは、
旗手イアーゴーの謀略・奸智にひっかかって、優しくて
無垢な心の持ち主の妻デズデモーナが不義を副官キャシオウと
犯していると妄想してしまう。
デズデモーナの優しさと広大な愛の心に涙が止まらない。
大詰めのオセローの罪悪感と痛みも、又、悲しい。
悪のヒーローイアーゴーのキャラクターも印象的。
舞台化を意識しつつ、美しい日本語を以て訳された福田恒存氏の
名訳は読むたびに感銘を受ける。読みながら、自分が舞台に
立っているような錯覚を覚えることさえある。
声を出しながら読むことをお薦めしたい一冊である。
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美しい |
| 2005/01/13 5人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。 |
| 昔の自分なら、イアーゴーただ一人に煽動されたオセローはなんて馬鹿で単純な人だろうと思っていただろう。しかし、遍歴、そのほとんどが盲目な恋愛ではあるが、それを経た今となっては、デズデモーナという女性を心の底から愛していたオセローの気持ちが少し理解できたような気がした。恋愛している最中にもう一読してみたら、また違った味わい方ができるのではないかと思っている。 |
古典的火曜サスペンス劇場 |
| 2004/10/05 7人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。 |
誠実な男(オセロー)が悪人(イアーゴー)に騙されて、自分の最愛の妻(デズデモーナ)を殺してしまい、最後に真実を知り自殺するという物語。「クラシック的火サス」とでも言おうか。 台詞がとにかく長いが、恋愛絡みなので古典としては読みやすいほうかも…。 一般的なイメージの「演劇」像がここにある。いかめしい台詞が並び、そんなことしゃべらねーよと思わせる。ただ、これはあくまで古典なので昨今はまた違ったものも出てきている。西洋との文化的違いも関連するし。 つかこうへい氏が好きなら意外といけるかも。勝手に、想像上で登場人物を殴りつけ・蹴り付けながら読むとハマリます。 |
家庭悲劇 |
| 2004/06/29 1人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。 |
| シェイクスピアの悲劇の中では一番家庭的で身近な悲劇。他の悲劇と違い、王族やその関係者ではなく軍人が主人公で、彼が部下の計略により妻に対し疑心暗鬼になってしまう。オセローの劣等感を刺激するイアーゴーの作戦は彼の心理を計算していて鋭いものがある。他の悲劇の雲の上の存在のような登場人物たちに比べ、人間らしいオセローに親近感を持つ人は多いのではないでしょうか。 |