数学的な煩雑さを少しでも軽くするためか、電気双極子の項目など、これでは単位が取れないのではないか、と思われるほど特殊な場合だけを題材にしています。その割には、付録の積分計算の解説は少々まどろっこしく感じます。
また、あいまいな記述も目に付きます。例えば、標準的な教科書でなるべく早いうちに位置づけられる、電場、電界、電束密度という用語の位置づけが、あいまいなまま後ろの方まで引っ張られます。自由電荷と束縛(分極)電荷の違いについても少々あいまいです。もっとも、こういうあいまいさを残しながらでも、全体像をつかみやすくする、というのは今までの教科書に欠けていた視点であるようにも思います。
新しい本だけに、誤植もまだ残っていますので、初心者の皆さんは注意しながら勉強してください。誤植に自分で気が付くようになる、というのも勉強の一部であるともいえるのですが。
取り上げられている項目が少なすぎますので、本書で全体像をつかんだ後は(著者の言うように次の峰を指すのではなく)、もう少し本格的な書物でこの峰を踏み固めることが必要でしょう。