普通、荒木飛呂彦の漫画といえば「ジョジョの奇妙な冒険(以下、ジョジョ)」が念頭に上がるだろう。ジョジョのテーマは荒木飛呂彦曰く「生命賛歌」だそうだ。 その土台となったのは「バオー来訪者」にある。バオー来訪者は確かに、生命の歌だ。 だが荒木飛呂彦のストーリー展開は、多分に「謎解き」的な展開が多い。「ジョジョ」は登場人物たちが相手の裏をかいて攻め行く戦術が多い。少年漫画誌における「努力して強くなったこと、そして親友が助けてくれるから勝利する」だけで終わらない。どのように相手を罠にはめるのかが、荒木飛呂彦の展開作成ポイントだ。 その展開作成が顕著に現れるのが、デヴュー作である本書「魔少年ビーティー」だ。 荒木飛呂彦曰く「シャーロック・ホームズ!へのオマージュ的な作品」。 言われてみれば、主人公はワトソン役のように主役である「ビーティー」の活躍に付き添い、それを語るような展開になっている。 全六本の短編が入っているが、どれもが知略戦。相手の裏をかくこと、知恵の勝負によって相手から勝利を得ること。実にミステリ的な展開である。 次作「バオー」になると、主人公は無理やり超能力を植え付けられた少年。その超人的な能力を持って悪組織と闘うといった少年漫画の王道を行くような物語になる。知略戦はほぼ失われ、「生命賛歌」的な物語となる。 だがこの次の長編「ジョジョ」になると、「バオー」の生命賛歌と「ビーティー」の知略戦が融合する。物語の面白さに目を奪われがちだが、ジョジョは全体的に知略戦がメインとなっていァ?。 特に「第四部」以降は、絶対的な強さを持ったキャラクターが現れない。それぞれに備わった超能力をどのように相手に仕掛けるかをメインとして展開する。 本書「ビーティー」は超能力のない人間同士でどのように相手を罠にはめるかの展開を十分に楽しませてくれる。 ミステリ好きなら、是非とも堪能して欲しい。 |