山以外での社会生活は困窮を極め、何人かの友人(ザイルパートナー)も去っていく。それでも、着実に努力し続け登山家としての地位を築いてゆくが、彼の後世は不運続きだった。1 初めての海外遠征では一冬に三大北壁(アイガー、マッターホルン、グランドジョラス)を一機に登ろうと試みるが、最初のアイガーで隊員の怪我のため敗退2 第二次RCCエベレスト登山隊に選抜され、秋季南壁ルート登頂を狙うも、悪天候による隊の方針変更で敗退3 K2では1次アタック隊の人選に漏れ、個人的感情から勝手に下山してしまうという、規律違反を犯してしまう。4 そして、長谷川恒男を意識し続けたグランドジョラスである。彼の三大北壁登攀の動向に刺激され、彼より先のグランドジョラス初登を狙うが、瀕死の重症を負い敗退する。そして、あきらめきれずに自身のため翌年再挑戦するも、遂に命を落とすのである。
激しく彼を突き動かしていた山への執念は、常人の想像を超えたものである。夢枕獏著「神々の山嶺」の羽生は、森田がモデルであろう。森田の人間臭さ、執念に、現代人の忘れ去った何かを感じさせられる。